赤尾晃一の知的排泄物処理場(わかば日記)

静岡大学情報学部教員によるメディア観察ブログ。基本的に敬称略。SINCE 1996.3.20

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プロフィール

赤尾晃一

静岡大学

情報学部准教授

赤尾晃一

トゥース!! 写真は高校の卒業アルバムから。
1958年,滋賀県生まれ。同志社大学文学研究科修士課程新聞学専攻修了(メディア論・大衆文化論)。通信関係シンクタンク・日経BP社を経て,1995年10月から現職。主共著に『現代風俗史年表』『情報通信革命』『通信・放送新時代の制度デザイン』『商品化権』『ゲームの大學』『近未来・映像メディア』など。
 ついに50歳の大台。滋賀県に25年,東京都と浜松市に12年半ずつ居住。魚座なので,近くに「水溜まり」がないと落ち着かないらしい。
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2009年10月10日(土)

「社会派作詞家」清水みのる [昔の歌]

「朝日新聞」be on Saturdayの「うたの旅人」に清水みのる。浜松・伊左地町生まれ,浜松中学(浜松北高)・立教大英文科卒の作詞家。ポリドール(戦後はテイチク)に所属しながら,軍歌や国民歌謡は書かず,田端義夫の『別れ船』(1940年,YouTube)など,戦地に向かうセンチなつぶやきを綴った曲を作る。社会的現実をすくい取り,虚飾や美化を嫌った「ドキュメント詩人」として異彩を放つ。

清水みのるの代表曲は,もちろん『星の流れに』(1947年)。確かに「こんなに誰がした」と,清水は女性に仮託したが,女には老若男女どんな属性も代入できるのだろう。戦争で受けた傷や喪失感は,ほとんどの国民に共有されていたはずだから。『リンゴの唄』は終戦前に企画された曲である。『青い山脈』の希望と『星の流れに』の諦観と鎮魂こそが,戦後日本の出発点だったのではないかと思う。

その一方で,清水みのるはロマンチシズムの作詞家でもある。菅原都々子『月がとっても青いから』(1955年)の明るさは,浜松という豊かな土地に育ったがゆえの明るさを反映していると思う。「月の雫に濡れながら 遠回りして帰ろう」という詩想には感服する。


そして,清水みのるの曲で永遠に歌い継がれるのが『森の水車』(1942年,原歌手は高峰秀子)だろう。1951年に荒井恵子の歌で「ラジオ歌謡」として流れヒットした。もっとも,「粉挽き臼を回す水車」は今は骨董的存在でしかないのだが。この曲も「仕事に励みましょう」「いつの日か 楽しい春がやって来る」という歌詞から,時流に流されず,与えられた仕事を黙々とこなしていれば,いつかは希望が訪れるという意味で,消極的で繊細な「反戦歌」として捉えることも可能だろう。

とはいえ,清水みのるといえば,田端義夫と組んだ「船」シリーズである。とりわけ『かえり船』は,『星の流れに』と並んで,静かなる「反戦歌」だと思う。

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