赤尾晃一の知的排泄物処理場(わかば日記)

静岡大学情報学部教員によるメディア観察ブログ。基本的に敬称略。SINCE 1996.3.20

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プロフィール

赤尾晃一

静岡大学

情報学部准教授

赤尾晃一

トゥース!! 写真は高校の卒業アルバムから。
1958年,滋賀県生まれ。同志社大学文学研究科修士課程新聞学専攻修了(メディア論・大衆文化論)。通信関係シンクタンク・日経BP社を経て,1995年10月から現職。主共著に『現代風俗史年表』『情報通信革命』『通信・放送新時代の制度デザイン』『商品化権』『ゲームの大學』『近未来・映像メディア』など。
 ついに50歳の大台。滋賀県に25年,東京都と浜松市に12年半ずつ居住。魚座なので,近くに「水溜まり」がないと落ち着かないらしい。
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2010年02月04日(木)

朝青龍の無念 [大相撲]

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NHK『ニュースウオッチ9』から

「本日の理事会で朝青龍の処分を議論した。不祥事に本人が大変申し訳ないと引退届を出して理事会で受理した」と武蔵川理事長は会見で綺麗事を述べた。しかし,朝青龍が本当に「横綱という責任を感じた」のであれば,理事会に召喚された時点で,一切の弁明をせずに引退の意志を伝えたはずだ。理事会で「事実上の“引退勧告”」が強い調子で伝えられたことは想像にかたくない。「横綱を解雇した史上初の理事長」の汚名を負いたくなかった武蔵川理事長が,なんとか弥縫策をみつけたというところか。内舘牧子が言うような「朝青龍の自らの判断」でないことは確かだ。それは,NHKの箱乗り独占インタビューで,「挑戦したかったけどね,(優勝回数)記録に」と答えた朝青龍の言葉からもうかがえる。自ら引退届を出した横綱にしては,土俵への未練がまだまだたっぷりのように思える。

相撲をロクに知らない鶴田卓彦・横綱審議委員長が「引導」を渡したとされるのも,けっこう腹立たしい。社会的成功者のサロンである横審こそ「旧い相撲観」の代弁者であり,「現代の相撲観」と乖離していることを感じることが多かったからだ。個人的には,「次にやったら解雇だぞ」という「執行猶予付き引退勧告」が妥当だったと思う。白鵬との拮抗した「二横綱時代」の土俵を楽しみにする好角家に対して,興行的にもあまりに配慮に欠けた結果である。

「品格、品格というが、土俵に上がれば鬼にもなる気持ちだったし、精いっぱい取らなければいけない気持ちも多少あった。今までにない人なんで、いろいろご迷惑をおかけしたところもあった」(→会見詳細)
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表紙を飾るのがおそらく最後となるだろう「相撲」2月初場所決算号

これが朝青龍の精一杯の矜持であり,反論の言葉か。自分を「今までにない人」と定義することで,「既存の枠に嵌める考え自体が間違っている」と言いたいわけか。勝負に賭ける朝青龍の強い気持ちと,気魄あふれる相撲と技は誰も否定するまい。「土俵外での暴力」が問題ならば,夫人や師匠に手をあげたとされる段階で本来ならばアウトなのだ。結局のところ,「酒で身を滅ぼした人間」の列伝に名を連ねたのが残念だ。個人的には,隠蔽工作にも加担し,横綱の教育に失敗した高砂親方の「監督責任」が問われないのがバランスを失している気がする。角界の至宝を御しきれなかった高砂親方にこそ「廃業勧告」が出されるべきだろう。二階級降格なんて生ぬるすぎる。

確かに,「警告の累積」で,協会も我慢の限界に達したことも理解できる。しかし,相手はまだまだ「大草原の少年」なのである。世論のどこまでが「引退勧告」を求めていたかも疑問だ。「禁酒勧告」を出す方法もあったのではないか(笑) 日本社会はまだまだ「過ちを犯した人間」に対する「再挑戦の機会」を与える寛容さに欠けている気がする。優勝回数で上位にいる大鵬も千代の富士もそれぞれ,それほど褒められた「品格」の持ち主ではなかったはずだ(*)。

貴乃花理事当選問題にはあまり関心がない。「自分の部屋も満足に運営できず,弟子の育成に成功していない人間が,角界の改革を口にするのは分不相応」だと思うからだ。近親者と絶縁を続け,意見が合わない人と口も聞かないとされる貴乃花の「人間としての品格」にも疑問を持つ(「おまえが言うな」という話だけど)。日本相撲協会の改革で,最も急を要するのは,実は「親方株」制度そのものだと思う。過去にさまざまな問題を引き起こし,今回も安治川の「借り株制度」の理不尽さが浮き彫りにされた。だけど,それが「伝統の根幹」と思っている理事会連中では,親方株制度の改革なんてできるわけがないのだ。

*― 大鵬は拳銃密輸で書類送検され,千代の富士は「八百長」疑惑がある。

# 朝青龍の引退後は,高砂親方に対する風当たりが強まっている。

◆騒動のたびにあたふたするばかりの高砂親方(元大関・朝潮)は、「教育者」というよりも、所属タレントの不始末処理に頭を下げてまわる体格のいい芸能マネジャーのように見えた。「あなたは誰ですか」と、尋ねてみたいときがある。(「讀賣新聞」編集手帳・6日付)
師匠の高砂親方は指導力を示せず、トラブルを繰り返す朝青龍に行動を改めさせることができなかった。部屋の責任者としての監督責任は極めて重い。(「讀賣新聞」社説・6日付)

Posted at 23時59分  トラックバック ( 0 )  コメント ( 0 )

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